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ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・
鳥類学研究者グループ:JOGA 第1回自由集会

潜水鴨と生息環境の質との関係

岡 奈理子(山階鳥類研究所・研究部)

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ハジロ属鳥類の最近(1990-98年の9カ年)の総個体数の平均は395,000羽で、日本で越冬する鴨類の平均総個体数181万羽の、2割強を占める。これらの生息数を支えるのは、日本にあるそれぞれの生息地の質である。

潜水鴨の主要な越冬地の一つ、宍道湖に生息するキンクロハジロは越冬中にヤマトシジミの現存量の約2割を採食する。わずか7km離れた中海には宍道湖の2倍強の密度のキンクロハジロが生息する。この二つの潜水鴨個体群の消化器官は、同種であっても、図1にみるように、筋胃の発達度が大きく異なっていることが最近の研究で明らかになった(Oka et al. 1999)。これは、隣り合った個体群が例え同種であっても、異なる餌環境に見合う消化器官を発達させて最適化を図っていることを示す。潜水鴨1種をとっても、それぞれの湖沼の生息環境は、彼ら一つ一つの個体群にとって固有の生態系であることを意味し、それぞれ固有の餌生物に対応した消化器官で彼ら潜水鴨が日本で越冬していることを示唆する。

水禽類の生息地の保全を全国規模で考える上でも、個別に考える上でも、現生息地のどのような環境構造がそれぞれの個体群を支えているのかの解明が、必要である。

fig.1 (54KB)

図1.中海と宍道湖で越冬するキンクロハジロ個体群の、筋胃の重量と、体重に占める筋胃割合の、湖沼間の比較.(この内容は、鳥の栄養状態、餌生物の質の分析も含めて、Oka et al. 1999.)

文献

[JOGA第1回自由集会「日本のガン・カモ・ハクチョウ類の個体群の現状」1999年10月9日]

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このページは「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」公式ホームページ(http://www.jawgp.org/anet/)の一部です. 1999年9月17日掲載,2000年9月10日更新.