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ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・
鳥類学研究者グループ:JOGA 第1回自由集会

日本におけるハクチョウ類の個体数変化

神谷 要(米子水鳥公園)

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世界には8種亜種のハクチョウ類が生息している。このうち日本で越冬するハクチョウ類の大多数は、オオハクチョウとコハクチョウである。両種の日本における越冬地は、オオハクチョウよりコハクチョウが南で越冬する傾向が見られる。

環境庁が毎年行っているガンカモ科鳥類の生息調査によると、日本における1974年のハクチョウ類飛来数は、オオハクチョウ1.1万羽、コハクチョウ0.1万羽、計1.3万羽であった。1974年以降、日本に飛来するハクチョウの個体数は徐々に増加し、1998年の飛来数はオオハクチョウ3.1万羽、コハクチョウ2.4万羽、計5.7万羽となった。1974年のデーターと1998年のデーターは、調査面積、調査人員、観察場所の数で単純に比較することは難しいが、クッチャロ湖(北海道)の飛来数変化等からハクチョウ飛来数の増加傾向はほぼ確実である。また、コハクチョウの割合の増加に符合して、オオハクチョウの越冬地にコハクチョウの飛来数が増えているという報告がある。これらの理由として、国内での保護政策浸透、給餌、日本及び他国の越冬地環境の変化などが考えられる。

集団越冬地の南限である中海周辺の地域では、飛来するコハクチョウがネグラと餌場(水田)をわけて生息している。この地域へのコハクチョウの飛来数は、1972年には324羽だったものが、1998年には906羽に増加している。しかし、順調な増加だったわけでわなく、1977年に803羽だつた飛来数が、1981年には459羽に半減している。これは、コハクチョウのネグラとするような浅い水域が中海周辺ではほとんどないために、干拓工事中の浅瀬をネグラ環境としていたことが原因している。つまり、工事の進展によって浅瀬であるネグラが失われ、コハクチョウの飛来数減少がおこっていた。その後、コハクチョウは別の干拓工区(現米子水鳥公園)にネグラを移動し、このネグラが保全されたによって900-1200羽の飛来数を維持している。このように、中海周辺へのコハクチョウの飛来数は、ネグラ環境の有無に左右されていることが過去の観察から分かった。

今後、ハクチョウ類の個体群を解明する上で日本のガンカモ科鳥類調査とリンクしたアジア各地でのカウントと日本以外の地域でも標識などの調査が望まれる。さらに、正確な個体数を把握するために餌場とネグラのダブルカウントを防ぐような工夫も必要である。

[JOGA第1回自由集会「日本のガン・カモ・ハクチョウ類の個体群の現状」1999年10月9日]

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このページは「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」公式ホームページ(http://www.jawgp.org/anet/)の一部です. 1999年9月4日掲載.