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ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・ 日本に生息するガン類の個体群の現状と今後の課題呉地 正行(日本雁を保護する会) |
日本では,これまでに9種のガン類が記録されている.しかし,現在も群れとして渡来するのは,コクガン Branta bernicla, マガン Anser albifrons, ヒシクイ Anser fabalis の3種で,ヒシクイについては2亜種(亜種ヒシクイ A. f. serrirostris と 亜種オオヒシクイ A. f. middendorfi)が確認されている.
1970年代初頭には全国で数千羽まで減少したガン類は,1971年に狩猟鳥から除外(マガン,ヒシクイ)され,天然記念物指定(上記3種)による法的保護により,個体数減少が止まり,増加傾向を示すようになり,その越冬数は,コクガン約800羽,マガン約60,000羽,ヒシクイ約12,000羽まで回復したが,その定期渡来地は50個所程度で,その増加は見られない.コクガンは主に北日本の沿岸部の汽水や塩水域に分布し,マガンとヒシクイは北日本と日本海側の淡水湿地に主に生息分布する.
日本へ渡来するガン類の渡りの経路や繁殖地については,ロシアを始めとした国外の研究者との共同調査により,マガンはベーリング海に面したコリャク高地の海岸ツンドラの湖沼群がその繁殖地のひとつであることがほぼ明らかになった.ヒシクイは,2亜種ともカムチャツカ半島西海岸の湖沼で換羽をする群れの多くが渡来することが分かり,その内,亜種ヒシクイ serrirostris は,カムチャツカ半島西海岸南部の複数の河川流域で繁殖する個体の渡来が確認されている.オオヒシクイ middendorfi の繁殖地については,これまで十分な情報がなかったが,最新の知見について,今年度の大会で尾崎らにより報告が行われる.コクガンについては調査は継続しているが,未だ断片的な情報しか得られていない.
1990年代になると,個体数変動,行動,その分布,にこれまでと異なる傾向が見られるようになった.この傾向はマガンに顕著に見られる.マガンの大半が越冬する宮城県北部でのマガンの渡来数は,1971/72年度には3,000羽だったが,85/86年度に初めて10,000羽を越え,90/91年度には20,000羽を,そして97/98年度には60,000羽を越えた.越冬パターンも変化が見られ,70年代,80年代,90年代と,次第に渡来時期が遅くなり,渡去時期が早くなっている.特に暖冬傾向が著しい90年代は,その傾向が顕著に見られる.またこれまでは渡りの途中の中継地だった東北地方の秋田県の小友沼や八郎潟などの湖沼で越冬期間を通じてマガンやヒシクイが残留する傾向が90年代に顕著になった.更に北の北海道のウトナイ湖では,12月末になっても残留するマガン群が見られるようになり,日高支庁の静内町では厳寒期にも滞在する数十羽のマガン群が95/96年度以降観察されている(図1).
今後の課題としては,
図1.新たに越冬地化したマガンとヒシクイの中継地. |
[JOGA第1回自由集会「日本のガン・カモ・ハクチョウ類の個体群の現状」1999年10月9日]
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国際湿地保全連合日本委員会 ガンカモ類フライウェイオフィサー 宮林 泰彦, 989-5502 宮城県 栗原郡 若柳町 字川南南町16 雁を保護する会 TEL&FAX 0228-32-2592 / E-mail: yym@mub.biglobe.ne.jp. このページは「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」公式ホームページ(http://www.jawgp.org/anet/)の一部です. 1999年9月22日掲載. |