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ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・
鳥類学研究者グループ:JOGA 第5回自由集会 事例報告1

ハクチョウ類の繁殖地と越冬地の結びつき

藤巻 裕蔵(日本白鳥の会)

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【要旨】

冬,日本に定期的に渡来するハクチョウ類はオオハクチョウとコハクチョウの2種である.これらの繁殖地はロシア極東北部であるとされている.この地域における両種の繁殖地と越冬地との結びつき,また渡りルートについては,脚環・首環標識による調査や衛星追跡のテレメーターを用いての調査で明らかにされている.

日本におけるハクチョウ類の標識は1974年以来,IWRBハクチョウ調査班による国際ハクチョウ類首環標識調査計画に日本も参加することで開始された.これまで(1998年度の標識結果の報告書まで)に,オオハクチョウ432羽,コハクチョウ104羽に標識されている.

標識によって繁殖地と越冬地の結びつきを明らかにできるが,越冬地でいくら標識しても,繁殖地では地理的にも広範囲にわたって生息しているために,繁殖地で標識個体が見つかることはまず不可能である.

ロシアにおける標識は,オオハクチョウはカムチャツカ(1985,1986)とアナディール(1982),コハクチョウはチャウン湾で行なわれた(1977〜1977).これまでの記録によると,オオハクチョウでは越冬地と繁殖期が結びつく例は,サハ共和国,コリマ川中流部(銃猟)の2例だけである.このほか,渡り途中のサハリン,ポロナイスクで銃猟されたのが2例ある.日本で標識されたオオハクチョウでロシアでの回収例は9例(平成8年度報告)あるとされているが,その詳細は不明である.このほか,状況証拠として,インジギルカ川流域におけるオオハクチョウの繁殖個体数増加が知られている.

コハクチョウでは,チャウン湾で標識された個体の大部分が日本で観察されている.繁殖地・越冬地の結びつきが確認されている例は,チャウン湾で標識されたものだけである.このほか,渡り途中のオホーツクで標識されたものが日本で観察されている.

衛星追跡のテレメーターを装着した例は,オオハクチョウでは日本野鳥の会が実施しているが,資料が得られず今回は発表できなかった.

コハクチョウについては,1990年にクッチャロ湖で4羽,1994年と1997年に米子で4羽ずつである.1990年の4羽のうち,繁殖地に到達したのはコリマ川下流部の1羽だけ.その他の3羽はアムール川河口,サハリン,オホーツクと渡り途中までのデータしか得られていない(環境庁 1991).米子市での放鳥個体のうち,1994年のうちの1羽と1997年のうちの2羽はアムール川河口まで達したが,繁殖地は不明のままである.ただ,日本海を直接渡るルートがあることが明らかにされた.

[JOGA第5回自由集会「極東におけるガン類・ハクチョウ類個体群フライウェイ解明のための課題」 2003年9月22日]

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2003年9月27日掲載.