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JOGA
JOGA11
(2009)

東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第11回集会「急増するガン・ハクチョウ・カモ類の原因や影響を巡る鳥学的課題」

講演2−2

農業施策にともなう食物資源の変化に対するマガンの対応

嶋田 哲郎(宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)溝田 智俊(岩手大学)


 マガンの個体数増加要因を,農業施策の歴史的変遷にともなうマガンの食物資源量の変化から考察した.19752005年にかけて減反政策にともない,水田面積は30%減少した.その間,圃場整備事業は30%から61%に上昇し,圃場整備率の進捗にともないバインダーからコンバインへの置換が進んだ.コンバイン刈りの方がバインダーよりも多くの落ち籾がでるため,収穫機械の進展とともに落ち籾資源量は増加し,1975 年から1995年にかけて2倍に増加したが,1995年以降は頭打ちとなった.1990年代後半になると,転作作物,中でも大豆の作付面積が増加した.落ち籾資源量をあわせた食物資源量全体をみると,落ち籾資源量は1995年以降頭打ちになったものの,その分を補填する形で転作作物の現存量の増加にともなって食物資源量全体は増加した.こうした農地の利用形態の変化によって,採食地分布パターンの変化や農作物被害が生じた.これまで中継地であった秋田県でも個体数が増加しており,八郎潟などの広大な水田における食物資源量を背景に,今後さらに個体数が増加する可能性がある.マガンの個体群管理へ向けた議論が進展することが望まれる.

図1
図1.宮城県北部におけるマガンの個体数変化

[JOGA第11回集会「急増するガン・ハクチョウ・カモ類の原因や影響を巡る鳥学的課題」2009年9月21日]

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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg014c.htm
2009年8月27日掲載, JOGA