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JOGA
JOGA14
(2011)

東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第14回集会「東日本大震災の湿地への影響をガンカモ類などの調査を通してどう把握するか」

講演2

東日本大震災と水鳥(ガンカモ類やシギ・チドリ類)のモニタリング調査

神山 和夫守屋 年史(バードリサーチ)


 モニタリングサイト1000で実施されているガンカモ類とシギ・チドリ類の調査地において、東日本大震災の影響が観測できる可能性について報告する。

[図は本文の下に配
 置してあります]

 モニタリングサイト1000ガンカモ類調査は、主にガン類とハクチョウ類の多い生息地80カ所で越冬期と秋・春の渡り時期に調査を行っている。調査内容はガン類・カモ類・ハクチョウ類・カイツブリ類・バン類の個体数調査と、ハクチョウ類の成鳥・幼鳥数の調査、温度ロガーを使った気温調査などである。調査地の配置を図1に示す。このうち津波の被害を受けた調査地には南三陸海岸があり、今後、何らかの変化が観測される可能性がある。その他に宮城県では伊豆沼・内沼、長沼、蕪栗沼、化女沼が調査地になっており、今後ガンカモ類の越冬地の採食環境に変化があれば、生息数に影響が現れるかもしれない。

 次に、シギ・チドリ類の調査地について説明する。シギ・チドリ類では約130カ所の調査地があり(図2)、春(45月)、秋(89月)、冬(121月)に個体数調査を行っている。津波被害を受けた地域には蒲生干潟、鳥の海、松川浦がある。その他の太平洋岸の調査地でも、地震によって、茨城や福島の海岸や水田の調査地の地盤に影響が出たところがある。

 2011年春のシギ・チドリ類の個体数に変化があったかを確かめるため、20082011年の春の渡り時期に全国で記録された個体数を地域ごとに比較してみた。統計的な解析は行っていないが、2011年春にはオバシギやキョウジョシギ、チュウシャクシギのように全体的に数が少なかった種はあるものの、例年に比べて大きく変わってはいないようであった。ミユビシギ、オオソリハシシギ、オバシギのように、2011年春よりは2010年春のほうが特異なパターンが見られる種もあった。シギ・チドリ類は年変動が大きいため数年程度のデータを分析しただけでは変化を見出すことが難しいが、生息地の悪化が長く続く場合には、その影響が現れるかもしれない。

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図1
図1.モニタリングサイト1000ガンカモ類調査地(平成22年度モニタリングサイト1000ガンカモ類調査業務報告書より).


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図2
図2.モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査地(平成22年度モニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査業務報告書より).

[JOGA第14回集会「東日本大震災の湿地への影響をガンカモ類などの調査を通してどう把握するか」2011年9月17日]

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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg017b.htm
2011年9月15日掲載, JOGA