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東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第15回集会「ガンカモ類のフライウェイ研究と地域個体群の認識・保護計画」
講演5
嶋田 哲郎(宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)・呉地 正行(日本雁を保護する会)
その多くが長距離の渡りを行うガンカモ類の個体群の動態を把握するためには、ある地域で繁殖する群れがどの地域を経てどこまで渡り越冬するのか、その行動圏であるフライウェイを知ることが不可欠となる。
これらは、大きく、南北アメリカ、アフリカ−西ヨーロッパ、アジア−太平洋の三つに別れ、それぞれ国際的な政策の枠組みを持っている。日本に関わるガンカモ類の個体群は、「アジア−太平洋」の中の、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ(EAAF)の一部を構成している(図・1)。同じ種で、同じフライウェイに属していても、個体群によりその状況は異なることが多い。そのために種の保護・保全を考えるためには、個体群レベルでのモニタリングが不可欠となる。
この時に最も役立っているのが、国際湿地保全連合が原則6年ごとに発行している、“Waterbird Population Estimates”である。ここには個体群ごとに種名、その状態、分布地図、亜種名と個体群名、繁殖地と非繁殖地、地域分類(日本、中国、台湾、韓国、北朝鮮、モンゴル、ロシア:タイミール以東=東アジア)、ラムサール条約による地域分類、個体数推定と分類(A: <10,000〜E: >1,000,000)、個体群の傾向:安定/減少/増加/変動/絶滅、そして 個体群の1%(ラムサール条約の第6基準=1%基準)について記載されている。この報告書は、ラムサール条約適役国会議に合わせて改定され、このデータが、ラムサール条約湿地の登録基準の内、水鳥に基づく基準(Specific criteria based on waterbirds)である、
これまでに第4版(2006年)までが出版され、今年7月にブカレストで開催されたラムサールCOP11に向けて、第5版作成のための改訂作業が行われ、呉地も東アジア地域のガン類の個体群推定についてその作業に関わった。その過程を経て作成された第5版の要約版が、ラムサールCOP11のサイドイベント(Launch of the Waterbird Population Estimates V and report of the first Global Inter-Flyway Network meeting)でリリースされた。
この改訂作業は今後も6年毎に続く。ガンカモ類のフライウェイ認識に関する成果をこの改訂に生かすことを想定しつつ、各分野の研究を進めることが重要だと考える。
[JOGA第15回集会「ガンカモ類のフライウェイ研究と地域個体群の認識・保護計画」2012年9月14日]
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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg018e.htm
2012年9月9日掲載,JOGA.