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東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・鳥類学研究者グループ:JOGA
第14回集会「東日本大震災の湿地への影響をガンカモ類などの調査を通してどう把握するか」
報告
[JOGA14]
[参照]
講演後の討論として以下のような点についてやりとりをした。
参加者は62名で、41名の方が参加票を提出され、そのうち27名の方からコメントが得られた。それらのコメントを内容別にまとめると以下のようになる。
・ガンカモ類などの水鳥調査について
震災の影響を非常に憂慮していたので参加した。今後注意して水鳥の影響を観察したい。琵琶湖の水鳥調査にグローバルな視点を持つ必要性を実感した。
ガンカモ一斉調査データは、今後震災後の長期的な傾向を見る上で必要となる情報であることから、データの取りまとめは重要と考えている。今冬のガンカモ類の渡来状況が注目される。今冬〜春では少ししか見えてこないかもしれないが、モニ1000、一斉調査の今までのデータが大いに役立つと思う。
福島県内のガンカモ調査がどの程度できるのか? ボランティアで調査するのにはきびしい場所もあると思う。被災地での鳥類をはじめ自然環境や生きものを調査する人員が足りているのか体勢が整っているのか気になる。現地ではまだまだそれどころではなかったり、立ち入り禁止だったりして、データが抜けてしまいそうで心配である。
調査の大変な地域も多いかと思うが、多方面からの協力などで継続することで、今後の結果を期待している。震災後の野生生物への影響は、モニ1000やボランティア調査だけでなく、もっと政策的に強力に調査する必要があり、そういう政策的提言や世論喚起も必要と思う。
・水田環境について
今後ガンカモ類の生息環境として重要な「田んぼ」が維持できるか心配である。今後の農地面積の推移や海岸の堤防整備等にも注目していく必要性を感じる。底生生物の生息量のデータも出てくることに期待したい。沿岸域でシギチドリ類が大きく減少はなさそうだったのがほっとしたが、霞ヶ浦周辺の調査では水田地帯の液状化によってシギチの分布は変化していたので、今後も継続的に調査することが重要と感じた。水田などの塩害による今後の影響が気になる。
・沿岸湿地調査について
沿岸の保全をどうすすめていくか。地元の関心は高い。地盤沈下で干拓前に戻った湿地をどう評価していくかも課題。干潟・藻場・ヨシ原再生の取り組みに関する調査が多く進められており、このような情報も得て、今回の震災で生じた課題を適切に解決していくことが求められると思う。人がいなくなった沿岸域で、シギ・チの新渡来地(後背湿地)が出来る可能性はないか気になる。これまでの渡来地に限らず広く見ていくことが重要と思った。オオセッカの調査を通して、東北の湿地に関心がある。ガンカモだけでなく鳥全般の震災の影響のとりまとめが重要であると思う。
・福島原発事故について
原発による問題に関心がある。貴重な資料の発表があった。湿地への直接的な被害もあるが、今後は放射能汚染の問題が長期的な問題として浮上してくると感じた。チェルノブイリの報告も含めて改めて自分でも勉強してみようと思った。土壌動物学会で地元の人と連携した調査の話が聞けて感激した。原発の動物への影響も気になっている。倫理的な指摘はもっともだと思った。震災前に福島第一原発近くを訪れたことがあり、原発沖にはクロガモ、シノリガモなどが見られたが、それらへの放射線の汚染が気になる。ミサゴなど高次捕食者の生物濃縮(放射線濃縮)も気になる。みなさんの発言を参考にして自分もまた考えたい。
・全体的な意見
今回の自由集会に参加してこれまで断片的な情報しか得られなかった東北大震災の情報をまとめて聞くことが出来て勉強になった。地理的に離れたところに住んでいる者は、なかなか震災による影響を知ることができなかったが、今回の集会で具体的な情報を聞けてたいへん刺激になった。
被災者でもある発表者の方々には頭が下がる。震災や原発の影響評価について研究を進めることが責務かと思う。声なき生き物たちの声を代弁する責任と力が調査にかかっていることを具体的に実感することができた。
被災地における影響など大変参考になる話しだった。今回の震災の影響をいかにとらえ、それを今後に役立てていくかについて、調査や研究の基礎分野が重要であることを再認識した。継続的なモニタリングの意義が出てくる時だと思う。生息環境の改変について勉強になった。今回の震災が今後の生息状況にどういった影響を及ぼすのか気になる。
[JOGA第14回集会「東日本大震災の湿地への影響をガンカモ類などの調査を通してどう把握するか」2011年9月17日]
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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg017e.htm
2011年11月1日掲載,11月8日更新,
JOGA.