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アジア太平洋地域
渡り性水鳥保全戦略

報告:沖縄ワークショップ 2000
10月16-19日

国際湿地保全連合アジア太平洋支部


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「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略:2001-2005」国際ワークショップ 報告
2000年10月16-19日,那覇市,沖縄

アジア太平洋地域を中心に15か国からの政府関係者や技術専門家など,加えてラムサール条約(湿地に関する条約)やボン条約(移動性野生動物種の保全に関する条約)事務局から,総勢150名ほどが,2000年10月16-19日に沖縄県那覇市に集まり,アジア太平洋地域の渡り性水鳥とその生息環境の保全を推進するための画期的な国際ワークショップに3日半にわたって参加しました(参照:ワークショッププログラム).

開会式では,小林光(環境庁長官官房審議官),アリソン・ラッセルフレンチ(豪州環境省沿岸海洋局次官補),親泊康晴(那覇市長),ヘラルド・ブーレ博士(国際湿地保全連合国際プログラム責任者)の4氏から挨拶をいただきました.

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記念写真,10月19日,撮影:環境庁

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会議風景,撮影:環境庁

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開会式で挨拶を述べるラッセルフレンチ氏,撮影:環境庁

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会議風景,撮影:ヘラルド・ブーレ氏

初日は「アジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略:1996-2000」とガンカモ類,シギチドリ類,ツル類の活動計画の成果について,興味深い発表が行なわれました(参照:1996-2000年の活動の概要).日本,中国,ロシアからのこれらの発表によって,国際的に重要な生息地を結ぶ3つのネットワーク(ワークショップ時点,10か国68の生息地)が,東アジア〜オーストラリア地域を渡る水鳥についての人々の認識を高め,また生息地に根ざした研修の機会や保全の取り組みの基礎となる土台として機能していることが示されました.この「戦略」は,政府機関,ラムサール条約やボン条約,国際的・国内的なNGO,そして地元の人々に資金的に支えられ,その協力のもとに進められているのです.

そして,ソデグロヅル Grus leucogeranus やクロツラヘラサギ Platalea minor,ズグロカモメ Larus saundersii の保全活動,アジアのレッドデータブック事業,鳥類重要生息地(IBA)プログラム,アジア湿地目録(AWI),黄海干潟の保全といった,水鳥や湿地の保全のためのさらなる取り組みもまた,いま進められていることが報告されました.これらの報告によって,絶滅のおそれのある水鳥とその生息環境の保全を進めようとする取り組みを拡大してゆく必要性が浮き彫りにされました.

ポスター発表の場は,生息地レベルから国内レベル,また国際レベルまで,水鳥の保全にかかる現在の課題や取り組まれている活動について,たくさんのグループが報告する機会となりました.オリンパス光学工業株式会社は,鳥類の音声を音声情報に変換して印刷できる新しい技術を紹介していました.

歓迎レセプションでは,地元の人々によって沖縄の伝統的な琉舞やエイサーなどが披露され初日にふさわしい終幕となりました.

第2日目は,「戦略」と3つの種群(ガンカモ類,ツル類,シギチドリ類)の活動計画の第2期にあたる2001年から2005年にかけて取り組むべき優先度の高い保全活動に焦点が当てられました.これらは,21世紀に向かってさらに渡り性水鳥の保全を推進してゆこうとする国際的な枠組みを提供してくれるものです.この日のワークショップはこれらの案文を最終化する作業が行なわれました.その結果,3つの重要生息地ネットワークがさらなる重要生息地を包括できるように強化してゆくこと,ツル類重要生息地ネットワークは世界的な絶滅危惧種であるコウノトリ Ciconia boyciana の重要生息地をも包含すること,研修の機会と能力の向上,普及啓発,保全計画づくり,法制度の見直し,中央アジア地域における活動計画の策定と重要生息地ネットワークの構築,そのほか数多くの課題が盛り込まれました.ワークショップの結果を盛り込んだ最終案文(英語)は国際湿地保全連合アジア太平洋支部のホームページからダウンロードできます.これらの文書は2001年初頭には発行され,広く配布される予定です.

亜熱帯の沖縄諸島は,すばらしいサンゴ礁や藻場,無数の魚類やウミガメ類,ジュゴンなどさまざまな海洋生物の棲み家として著名です.開発や観光と保全とのバランスをとるという課題に直面している沖縄本島南部のいくつかの沿岸湿地を参加者が訪れることができるエキスカーションが3日目の午前中にありました.マングローブや水鳥で著名な日本の11番目のラムサール条約登録湿地である漫湖,開発計画のある泡瀬干潟,かつては水鳥がたくさん飛来していた広大な与根干潟があった豊崎埋立地を訪れました.与根干潟の残った水域に休息していたクロツラヘラサギ(世界的絶滅危惧種)2羽,が多くの参加者の目を楽しませました.

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漫湖,ラムサール条約登録湿地ならびにシギチドリ類重要生息地ネットワーク参加地,撮影:テイジ・ムンカル

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豊崎埋立地,撮影:ヘラルド・ブーレ

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エキスカーションに同行したマスコミ,撮影:ヘラルド・ブーレ

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歓迎レセプションで披露されたエイサー,撮影:環境庁

3日目の午後は市民のための公開シンポジウムが開かれました.シンポジウムでは日本や他の国々で取り組まれている水鳥の保全に関する興味深い報告がありました.北東アジア地域のこどもたちが描いた絵画の巡回展覧会も開かれました.

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ロシアのこどもの作品,撮影:テイジ・ムンカル

このあいだに,「戦略」の調整機関である渡り性水鳥保全委員会,ならびにその3つの作業部会(ガンカモ類,ツル類,シギチドリ類)の会合が別に開かれ,それぞれ前日の議論の結果を盛り込んだ文案を最終化して承認しました.

最終日午前中,各分科会の結果をふまえて修正された「戦略」と3つの活動計画の最終文案が報告・承認されました.そして「沖縄宣言」が承認されました.

渡り性水鳥保全委員会暫定議長であるラッセルフレンチ,森康二郎(環境庁野生生物課長),金城豊明(豊見城村長)の3氏から挨拶をいただいて閉会しました.

「戦略」や3つの活動計画を,渡り性水鳥とその生息環境を保全するために本当に役立つものにするには,アジア太平洋地域の広範な人々の支援と活動への参加が欠かせません.このような挑戦的な事業にひとりでも多くのみなさんが積極的に共同してくださることを期待しながら,「沖縄宣言」が推奨するところをこれから5年間,追求してゆきましょう.

最後になりましたが,国際湿地保全連合は,このワークショップを通して活発な貢献をして下さった参加者のみなさんに感謝します.日本の環境庁,豪州環境省,那覇市,豊見城村,沖縄県,ならびに沖縄ワークショップNGO実行委員会のみなさまにこの実り多き会合を開催していただきましたことにお礼申し上げます.


渡り性水鳥及びその生息地保全に関する沖縄ワークショップ2000 資料


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編注:この沖縄ワークショップの報告ならびに関係文書の英語原文は,2000年当初,国際湿地保全連合アジア太平洋支部のウェブサイト http://ngo.asiapac.net/wetlands/ に掲載されていましたが,同ウェブサイトの変更に伴い,本ウェブサイト http://www.jawgp.org/anet/ に2002年に再録しました.また,2001-2005年の「戦略」も正式に文書化・出版され,英語原文はオーストラリア環境省のウェブサイトより,日本語仮訳は環境省インターネット自然研究所「渡り鳥生息地ネットワーク」のページより,ダウンロードできるようになりました.それに伴い,これらのページへのリンクも張りなおしました.2002年6月.