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重要生息地ネットワーク参加地への手引き 保護地の間の相互交流プログラムの計画手順 |
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保護地のあいだの交流プログラムは,正しく計画され実施されれば,保護地とその関係者に多くの利益をもたらします:
IUCNの「東アジアの保護地域における交流プログラムの実践」には,各々の保護地が交流プログラムに取り組み,その交流プログラムを成功させるために,当該の保護地の政策(企画)責任者ならびにスタッフが踏むべき手順が推奨されています:
手順1. | 事前に十分に計画を練ること. | |
手順2. | 目標を明確に立てること. | |
手順3. | 相手方は,可能性のある複数の対象地の情報を集めて十分に検討して決めること. | |
手順4. | どのようなタイプの交流事業を行なうか決めること. | |
手順5. | 市民の支援と政治的支援を導き出すこと. | |
手順6. | 交流計画を最終化し,合意文書を交わすこと. | |
手順7. | 資金を獲得すること. | |
手順8. | 交流プログラムを実施すること. | |
手順9. | 交流プログラムの成果をモニタリングし,評価すること. | |
手順10. | 交流後の活動. |
これらの手順のそれぞれについて考慮すべき点は以下のとおりです:
手順1.事前に十分に計画を練ること.1.1. まずはじめに交流プログラムの必要性を事前評価すること. 交流プログラムの必要性が喚起されるケースとしてつぎの3つの場合広く見られます:
1.2. 交流プログラムを組み立ててゆくことを担う担当者や担当組織・機関(その人材や作業時間など)が確保できるかどうかを見極めること. できるだけ早い段階から,交流プログラムコーディネータを任命することが望ましく,コミュニケーションと語学に才があり意欲的な人材をその任に確保することが成功の鍵です. |
手順2.目標を明確に立てること.2.1. 手順1で検討した交流プログラムの必要性に加えて,最終目標(goal)と達成目標(objective)を決めること.この段階で一度これらを明文化しておくと良い. 最終目標と達成目標の違い:
到達目標を考える際には,その取組みの結果をモニタリングする方法まで考慮しながら検討します. |
手順1 別紙:世界に見られるさまざまな保護地のタイプ.
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手順3.相手方は,可能性のある複数の対象地の情報を集めて十分に検討して決めること.3.1. 対象となる可能性のある保護地について次のような項目の情報を収集してまとめ,自分の保護地の内容と比較検討すること. 必要な情報の内容:
この過程で考慮すべき重要な点が,さらに二つあります:
実際に対象地を探る方法はいくつもあります:
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手順4.どのようなタイプの交流事業を行なうか決めること.4.1. 実施される交流事業には下のようにさまざまなタイプのものが考えられる.その中から自分の保護区が求める目標にふさわしい事業を企画すること. 交流事業のタイプ:
どのような場合においても,これらの事業に加わる人々が参加したかたちでの(参加型の)企画,準備,事後評価とフォローアップがその事業の成功の鍵を握ります. |
手順5.市民の支援と政治的支援を導き出すこと.5.1. 市民の支援ならびに政治的支援はどちらも交流プログラムを成功させるために欠かせません.もし,何らかの課題にかかるプログラムを企画する場合は,その課題に直接的に関わる層の支援をとりつけることが大切です.市民の支援があるという状況は社会的にも説得力が高まります. |
手順6.交流計画を最終化し,合意文書を交わすこと.6.1. どのような交流プログラムを実施するのか計画ができたら,相手の保護地とのあいだに合意文書を交わして互いに承認することが,長期的に安定した協力関係を築くために有効です. 合意文書には次のような内容を記します:
合意文書は,相互の(高級)責任者の署名を得ること(それによって高級責任者の認識も高まる).署名を記念式典のようなイベントで実施することも啓発に役立ちます.あるいはまた,合意文書や署名のニュースを広報し啓発につとめます. |
手順7.資金を獲得すること.7.1. 資金はさまざまな機関(自己を含む)から調達可能であるが,外部の支援団体から助勢を受けようとする場合は,相手の基金の目的に計画する交流プログラムが合致していることを確認すること. 考えられる資金調達方法:
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手順8.交流プログラムを実施すること.8.1. 定期的に交流事業の結果(中長期的な事業の場合は中間報告も含めて)を保護地の関係者ならびに市民に報告することが大切です.これを怠ると事業に直接参加した当事者だけが利益を得ることになってしまいます. |
手順9.交流プログラムの成果をモニタリングし,評価すること.9.1. 定期的にプログラムが目標に照らし合わせて順調に進展しているかモニタリングし,その結果を関係者のあいだで検討し,必要に応じて事業内容の改善を進めること. 評価には次のような手法があります:
これらの評価には,事業の参加者自身,地元の市民,保護地スタッフ,(高級)責任者まで,さまざまな関係者の参加を得ること.専門家や資金援助組織(あるいはそのコンサルタント)を招くと良いでしょう. |
手順10.交流後の活動.10.1. 交流プログラムに取組んだ保護地の両者でプログラム全体の評価に取組み,評価結果を相互に伝えること.うまくいったと評価する点についてはその成功要因を,またうまくいかなかったと評価する点についてはその理由を記す必要があります.評価はどちらも同じとは限りません.交流プログラムへの異なる展望ゆえに評価が異なることもしばしばあります. 10.2. 交流プログラムの結果をひろく広報することが啓発にもつながり,また交流プログラムの実施を担い,参加し,支援した関係者の努力を報うことになります.例えば報告書を発行したり,成果を報告する催し物(ワークショップなど)を開くことも良いでしょう(それらの資金は手順6の資金計画,ならびに手順7の合意文書にあらかじめ盛り込んでおくこと). 10.3. 同じ相手方と交流プログラムをさらに進めるかどうか,互いに検討し連絡を取り合うこと.それまでの交流プログラムが大きな成果を収めた場合は,新たな目標をもって計画することもできますし,新たな目標に適した別の交流先を探すこともありえます.成果が十分でなかった場合は,その原因を把握して,それを克服できるような新たな計画を立てることが肝要です.その際も同じ相手方と計画する場合も,新たな相手を探す場合もありえますが,その検討に当たっては,それまでの交流先と連絡を取り合うことが大切であり,交流プログラムが終わったらもう連絡も取り合わないようでは,交流プログラムは成功しません. |
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参考:世界に見られるさまざまな保護地のタイプ(IUCNの保護地類型の定義(IUCN 1994)より;類型の名称はIUCN日本委員会訳 http://www.iucn.jp/kokurenlist.html).
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「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画」は「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づく取組みのひとつです.「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」は「行動計画」のもとにガンカモ類にとって国際的に重要な生息地の保全を効果的に進めるための国際協力プログラムです.これらの取組みは日本を含む関係各国政府等の支援のもとに国際湿地保全連合が調整しています. 東アジア全域のガンカモ類に関するこの取組みの活動を監督するための作業部会「ガンカモ類ワーキンググループ」がアジア・太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に設置されています.ガンカモ類ワーキンググループを補佐し,東アジア全域の活動を推進するための事務局としてフライウェイオフィサーがおかれています. 日本国内での活動は環境省の同「戦略」推進事業のもとに,シギチドリ類,ツル類などの活動と協調しあいながら進められています.国内の「戦略」推進事業の活動のウェブサイトとして環境省インターネット自然研究所に「渡り鳥生息地ネットワーク」のコーナーが設置されています.ガンカモ類を含む3つの種群のそれぞれに日本国内での活動を推進するための国内コーディネーターがおかれています. 日本国内での活動等についてのご質問・お問い合わせはガンカモ類 国内コーディネータまでお願いします.連絡先のページへ. 重要生息地ネットワークの個々の参加地での活動等についてのご質問・お問い合わせは各参加地までお願いします.連絡先のページへ. 東アジア地域全体にかかわるご質問・お問い合わせはフライウェイオフィサーまでお願いします.連絡先のページへ. |
2002年4月16日掲載, 2004年5月29日更新(引用文献の掲載アドレスの修正).