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「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画: 2001-2005」2001年度 活動報告 |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
効果的に保全されるガンカモ類にとって国際的に重要な生息地のネットワーク
行動1 |
東アジア地域の各国から重要生息地ネットワークへの参加を得ることを目標に,また参加地の拡大をめざし,各国政府,重要生息地管理主体・関係団体等への働きかけが,環境省から,ワーキンググループを通して,あるいはNGOレベルなどさまざまなレベルで,継続して進められています.その結果,2001年1月に中国よりマイポ湿地が参加登録され,また2002年3月現在日本国ウトナイ湖の参加手続きが進められています.また,第3回ワーキンググループ会合では,中国,タイなどから参加地の追加あるいは新規登録の可能性・方向性について示唆がありました.タイでは2001年に政府が国際的に重要な湿地61ヶ所(ガンカモ類の重要湿地4ヶ所を含む)と国内的に重要な湿地208ヶ所を選定しました.日本国内においても,特に環境省が本年度に発表した |
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行動2 |
参加地での活動をより活発にするために参加地の姉妹提携が「行動計画」に提案されています.2001年夏に米子水鳥公園とレナ・ノルデンスキオルド生物学研究所のコハクチョウの共同調査がレナ川で行なわれました(全労済助成).これは,異国の参加地間のはじめての交流プログラムであり,調査だけでなく地元の小学校での交流授業も実施されました(Pozdnyakov 2001 in Anet Newsletter No.2, 神谷要氏のラムサールシンポジウム新潟IIでの報告).フライウェイオフィサーは参加地間の姉妹提携の効果や進めるべき手順などの情報の収集をすすめており,また,IUCN保護地域委員会が「東アジアにおける保護区の交流プログラムの実践」(Hayes & Shultis 2001)を発行しました.これらの資料を活用して,参加地の姉妹提携に取組んでゆくことができるでしょう. |
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行動3 行動4 |
参加地の環境ならびにその生物多様性を効果的に保全するために,保全計画を策定して取組んでゆくことが推奨されていますが,ガンカモ類の重要生息地ネットワーク参加地でこれまでに策定したところは香港のマイポ湿地や新潟市の佐潟(新潟市 2000)があります.また,ガンカモ類の生息環境としての水田生態系の重要性に鑑み,その生物多様性を高めるための取り組みも進められています(例:松ヶ根 2002).今後も参加地間の交流の促進や情報提供あるいは研修の機会などを通じて,各参加地ならびにその他の重要生息地での取り組みを支援してゆくことが大切でしょう. また,参加地各地で生息環境と生物多様性のモニタリングに取組んでおられ,それらへの支援が今後とも重要であり,特にまだ十分に取り組みを進められていない参加地への重点的な支援が欠かせません. |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
世界的に絶滅のおそれのある種のための行動計画
行動5 |
2001年から2005年までの第2期のあいだに,サカツラガンとトモエガモの保全を進めるための行動計画を策定することが提案されており,まずサカツラガンについて行動計画策定の準備と情報収集が進められています.本年度に雁を保護する会では,経団連自然保護基金の助成のもと,ロシアの東欧・北アジアガン類調査研究グループ等と共同してロシア極東南部に繁殖するサカツラガンの状況を調査しました(Poyarkov & Kurechi 2001).その一環としてアムール川流域のラムサール湿地ウディル湖でサカツラガンを捕獲標識したところ,そのうちの1羽が韓国ソウル近郊のハン川に渡来した群れの中に発見され,その渡りのルートの解明が進展しつつあります.2002年8月に中国北京において,保全計画案づくりのための関係者の会合をもつ予定となっています. |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
地域全体かつすべてのレベルにおいてのガンカモ類およびガンカモ類と湿地の価値・機能との密接な関係についての意識の向上
行動6 行動7 |
重要生息地ネットワーク参加地ではそれぞれ,参加地の価値やガンカモ類を含むその生物多様性などについて,普及啓発のための資料を作成し,また教育プログラムの開発と実践に取組んでいます.参加地や他の重要生息地で共通して活用できるようなガンカモ類に関する教育ツールや資料を開発することが「行動計画」に提案されていますが,まだできていないので,次年度以降に資金を獲得して取り組むことが必要です. |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
政府機関および非政府団体のガンカモ類のための保全活動を実施する能力の向上
行動8 |
ガンカモ類とその生息環境の保全に必要とされる種々の技術や能力を高めるために,研修プログラムの開発,その機会の提供や支援が「行動計画」に提案されています.環境省・新潟県・新潟市・新潟地域NGO実行委員会・国際湿地保全連合日本委員会・ラムサールセンターによる実行委員会が主催し2001年11月に開かれた |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
ガンカモ類とその生息地の適切な保全管理のための知見の基礎の向上と情報交換の増加
行動9 行動10 行動11 行動12 |
渡りをするガンカモ類の保全活動を適切に実施するために,その生活史,渡りや生息条件などを理解することが必須であり,諸団体が協力して取組んでいます.国際湿地保全連合によるアジア水鳥センサスや環境省によるガンカモ類全国一斉調査など定例化されているものに加え,本年度中に実施された主な活動として,ロシア極東南部におけるコウライアイサの繁殖生態(ロシア研究者グループ,英国水禽・湿地協会助成),「地球温暖化が渡り鳥のガン類に及ぼす影響調査」(東欧・北アジアガン類調査研究グループ・雁を保護する会,地球環境基金助成),「アムール2001」(WWFロシアプログラム・東京大学ほか)などが挙げられます.また,2001年7月に開設された環境省インターネット自然研究所内に「全国ガン・カモ類飛来情報」のコーナーが設置され,専門家だけでなく学校や一般市民からガンカモ類の生息状況・標識鳥の観察データをオンラインで入力することができ,またその結果をリアルタイムで確認することができるシステムが稼働を開始しました(岩渕 2002). |
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2001年度 東アジア地域ガンカモ類保全行動計画・重要生息地ネットワーク 活動報告
協力を増進してより保全活動の大きな成果をもたらすような,すべてのレベルにおける組織的関係の向上
行動13 |
雁を保護する会が重要生息地ネットワーク参加地を含むガンカモ類とその生息地の国内の関係者をつなぐメーリングリストを継続して提供し,また重要生息地ネットワークの公式HPをホストしています.日本鳥学会会員有志が「ガンカモ類重要生息地ネットワーク支援・鳥類学研究者グループ」を形成し,同学会大会において毎年自由集会をもち,わが国におけるガンカモ類に関する研究の総論と鳥類学的課題の総括の作業を進めています.また琵琶湖ラムサール研究会が普及啓発プロジェクト「ラムサール条約を活用しよう」を立ち上げ,ガンカモ類にとって重要な湿地をはじめ,全国の湿地における保全活動に活用できるポータルサイトを構築しつつあります(村上 2001).ガンカモ類ワーキンググループは「行動計画」と重要生息地ネットワークの活動を世界に広報するニュースレター「Anet Newsletter」の第2号を2001年11月に発行し,また第2回定例会合を同月にもちました.次年度以降の課題として,まだ前項までのうちまだ十分に取り組みが進められていない課題についてそれらに取り組み,あるいは協力・支援いただける機関・団体に参画いただくことが挙げられます. |
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引用文献・参考資料・HP
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「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画」は「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づく取組みのひとつです.「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」は「行動計画」のもとにガンカモ類にとって国際的に重要な生息地の保全を効果的に進めるための国際協力プログラムです.これらの取組みは日本を含む関係各国政府等の支援のもとに国際湿地保全連合が調整しています. 東アジア全域のガンカモ類に関するこの取組みの活動を監督するための作業部会「ガンカモ類ワーキンググループ」がアジア・太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に設置されています.ガンカモ類ワーキンググループを補佐し,東アジア全域の活動を推進するための事務局としてフライウェイオフィサーがおかれています. 日本国内での活動は環境省の同「戦略」推進事業のもとに,シギチドリ類,ツル類などの活動と協調しあいながら進められています.国内の「戦略」推進事業の活動のウェブサイトとして環境省インターネット自然研究所に「渡り鳥生息地ネットワーク」のコーナーが設置されています.ガンカモ類を含む3つの種群のそれぞれに日本国内での活動を推進するための国内コーディネーターがおかれています. 日本国内での活動等についてのご質問・お問い合わせはガンカモ類 国内コーディネータまでお願いします.連絡先のページへ. 重要生息地ネットワークの個々の参加地での活動等についてのご質問・お問い合わせは各参加地までお願いします.連絡先のページへ. 東アジア地域全体にかかわるご質問・お問い合わせはフライウェイオフィサーまでお願いします.連絡先のページへ. |
2002年4月11日掲載, 2004年5月29日更新(引用文献の掲載アドレスの修正).