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参加地での活動 レナ川デルタよりの報告ウラジミール・ポズドニャコフ博士 [ 参加地紹介 ] |
レナ川デルタは東アジア地域を渡るガンカモ類の最大の繁殖地のひとつです.3万へ違法キロメートルもの広大なデルタは北アジアでも最大のものです.ガンカモ類は25種が生息し,そのうちの15種が営巣しています.カモ類は20万羽以上,3万羽を越えるガン類,そして6千羽ものハクチョウ類が夏にやってきます.
1985年にロシア連邦の国立自然保護区として,デルタのうちの1万3千平方キロメートルに「ウスト・レンスキ Ust-Lensky 」保護区が設立されました.この保護区内では人間の経済活動のいっさいが禁止されています.1996年にサハ共和国(ヤクーティア)政府が,デルタの残りの地域に「レナ川デルタ Lena-Delta 」天然資源保護区を設立しました.この天然資源保護区内では,先住民のみなさんの伝統的な経済活動だけが許されています.1995年に,サハ共和国政府とWWFスウェーデンの共同出資により「レナ・ノルデンスキオルド生物学国際研究所」が設立され,活動を開始しました.
自然保護区と研究所の研究スタッフは,1994年からガンカモ類を含む鳥類の繁殖状況をモニタリングしています.この活動には,海外の研究チームもそれぞれの研究計画を持ちよりながら貢献しています.ここ数年だけでも,ベルギー,英国,ドイツ,オランダ,フランス,スウェーデン,南アフリカ共和国,そして日本の研究者たちが参加してくださいました.
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レナ川デルタで繁殖するコクガンとコハクチョウの2種が,研究対象の代表です.レナ川デルタには,コクガンの欧州の基亜種 bernicla と東アジアから北米にかけて生息分布する亜種 nigricans の両方が生息するところがあります.そこでは二亜種が混合したコロニー(集団繁殖地)があり,二亜種からなる番いも見られます.二亜種はそれぞれ,欧州と北米の太平洋岸に越冬しますが,どちらもその数は増加しつつあり,また繁殖地も拡がりつつあります.亜種 nigricans のなかには,日本から韓国・中国に越冬する群れが必ずいるはずですが,それを明らかにするためには標識調査を行なう必要があります.この東アジアに越冬する群れはほんの5千羽ほどしかいないので,とても心配です.保護区と研究所の鳥類学研究者は,1999年から2001年にかけてレナ川デルタ東部で営巣するコクガンの繁殖状況を調査しました.一方,ふたつの亜種が混合している地域において,欧州の亜種が東アジアの亜種を吸収してしまわないか,東アジアの亜種が消滅してしまわないか,といった可能性に特別な注意を払った調査が必要とされています. 20年前,レナ川デルタには700羽ほどしかコハクチョウがいませんでした.その後コハクチョウは増加し,1994年までには6千羽にのぼり,いまも増加しつつあります.この現象がレナ川デルタにおけるトナカイの急激な現象と関係しているのではないかと推測されています.残念なことに,近年レナ川デルタの研究者たちは,空からの調査を実施してデルタの全域でどのくらいのコハクチョウが生息しているかを調べることができていません.それは,航空調査に必要な費用があまりにも高すぎるためです.1999年と2000年にオランダの研究者たちと共働して,赤い首環でコハクチョウを標識する作業に取り組むことができました.そして,2001年は,日本に越冬するコハクチョウの渡りと繁殖地を明らかにするための研究プログラムの一環として,米子水鳥公園の神谷 要 さんとともに実施しました.数は少ないですが,3年間で,レナ川デルタで営巣していた21羽の成鳥とここで生まれた7羽の幼鳥を標識しました.
原典:Anet Newsletter No.2, page 5-6 (November 2002) |
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「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画」は「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づく取組みのひとつです.「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」は「行動計画」のもとにガンカモ類にとって国際的に重要な生息地の保全を効果的に進めるための国際協力プログラムです.これらの取組みは国際湿地保全連合が調整しており,ガンカモ類に関する活動を監督し補佐するための作業部会「ガンカモ類ワーキンググループ」がアジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に設置されています.東アジア全域の活動の推進のためにフライウェイオフィサーがおかれ,また日本国内での活動を推進するために国内コーディネーターがおかれています. 日本国内での活動等についてのご質問・お問い合わせはガンカモ類 国内コーディネータまでお願いします.連絡先のページへ. 東アジア地域全体にかかわるご質問・お問い合わせはフライウェイオフィサーまでお願いします.連絡先のページへ. |
2002年4月10日掲載.