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稀少種コウライアイサの調査プロジェクトディアナ・ソロビエバ博士,レナデルタ自然保護区 原典(英文): Anet Newsletter No.3 (2002年11月)3ページ所載 |
コウライアイサ Mergus squamatus は,アジアに生息する稀少なアイサの仲間です.IUCNの世界的絶滅危惧種のリスト(レッドリスト2000)には,絶滅危惧[2]類(vulnerable)として記載されています.その個体数は,悲観的に 2,000羽とも,楽観的に 10,000羽とも言われます.しかしどちらも推測に基づくものです(訳注1).1960年代から80年代にかけて減少したと言われており,その後の傾向はよくわかっていません.繁殖地域は,ロシア極東南部から中国北東部にかけての地域です.
2000年に私たちの調査プロジェクトがはじまりました.その目的は,本種を保護する取組みを改善するために,ロシアにおける本種に影響を及ぼす要因を明らかにすることです.調査チームはロシア連邦プリモリア地方のシホテ・アリン山脈の両側の地域で実施しました.アバクモフカ川,キエフカ川,クラスナヤ川,イマン川,ラゾフカ川,マルガリトフカ川,ミネラルナヤ川といった,いくつもの川沿いに49個の巣箱を設置しました.巣箱をかけたのは,それによって川沿いの林の伐採が,この稀少種の繁殖密度と分布に及ぼす影響を明らかにするためです.調査の結果,巣箱の設置によってそこでのコウライアイサの生息数が増加しました.20以上の川を調査したところ,繁殖つがいの密度は最大で 0.3-0.4つがい/kmでした.川によっては,1980年代に調査したときの3倍から4倍の密度に増加したところもありました.一方,人間活動による妨害によって,コウライアイサのつがいがその生活の時間配分に影響を受けていることもわかりました.すなわち,妨害によって,余分な飛翔を強いられたり,警戒に当たる時間が増えました.
この調査において世界で初めて捕獲標識することができました.それは,薄暮に巣の近くで網によって捕獲したのです.このプロジェクトは,Lundi Co.(ドイツ)と英国水禽湿地協会の資金援助により実施できました.
訳注
最新の『世界の水鳥の個体群推定 第3版』(国際湿地保全連合 2002)では,Zhao 他(1994)が推定した 3,600-4,500羽を採用しています.
Zhao, Z.J., Han, X.D., Wu, J.C., Zhang, S.H. & Piao, Z.J. 1994. A study on reproductive number, distribution and conservation strategy of Chinese mergansers (Mergus squamatus). In: Chinese Ornithological Society Waterbird Specialist Group (ed). Waterbird Research in China.: 61-65. East China Normal University Press, Shanghai, in Chinese with English summary
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「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画」は「アジア・太平洋地域渡り性水鳥保全戦略」に基づく取組みのひとつです.「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」は「行動計画」のもとにガンカモ類にとって国際的に重要な生息地の保全を効果的に進めるための国際協力プログラムです.これらの取組みは国際湿地保全連合が調整しており,ガンカモ類に関する活動を監督し補佐するための作業部会「ガンカモ類ワーキンググループ」がアジア太平洋地域渡り性水鳥保全委員会に設置されています.東アジア全域の活動の推進のためにフライウェイオフィサーがおかれ,また日本国内での活動を推進するために国内コーディネーターがおかれています. 日本国内での活動等についてのご質問・お問い合わせはガンカモ類 国内コーディネータまでお願いします.連絡先のページへ. 東アジア地域全体にかかわるご質問・お問い合わせはフライウェイオフィサーまでお願いします.連絡先のページへ. |
2002年12月22日掲載.