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プロジェクトの背景 |
特にガン類は,その渡来数が年々増加する傾向にあるのに,その越冬地の数(生息場所)はほとんど増加していないという現状があります.つまり,特定の場所に非常に多くの個体が集中して生息しているのです(一極集中化).これは,九州に渡来するツル類などにも見られる「悪しき」傾向です.なぜなら,例えば伝染病などが発生したりその特定の生息地が大きな改変を受けた場合,多くの個体が一斉にその影響を受け,個体群に多大なる損害が出る恐れがあるからです.そのため,近年は越冬地の分散化を図ることが大きな課題となっています.
その一つの解決方法の一つとして提案されたのが「冬期湛水水田プロジェクト」です.ガン類は広く浅い水面(低地性の湖沼など)を塒として利用します.浅く水を張った水田は,その代替環境としての条件を満たすことが期待されます.また,このようなグシュグシュした水田(湿田)は水鳥にとって餌をとりやすく,良好な採食環境を提供します.
そして,このような湛水水田プロジェクトが各地で行われるようになると,ガン類の生息地が再び拡大していくことも期待できるのです.
冬期湛水水田プロジェクトのイメージ