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他地域での湛水水田プロジェクトの紹介 |
アメリカ合衆国カリフォルニア州・サクラメントバレー:
1997年より,農地に水鳥を呼び戻す支援プログラム The Aguricultural Waterfowl Insentive Program
が国家プロジェクトとして実施されています.これは,広大な面積の水田に導水し,冬季間水鳥の生息環境として提供するとともに,このプロジェクトに参画した農家に対しては補償金を支払うという画期的なものです.プログラムの概略については,http://www.cria.org/newsletter8_3.html をご覧下さい.
このほかアメリカ合衆国では,メキシコ湾岸などでもハンティング目的で水田を冬期湛水しているそうです.
神奈川県:
日本野鳥の会神奈川県支部が主体となって,休耕田に湛水しシギチドリを呼ぶ事業を行っています.この事業に対しては,減反水田の多面的機能を活かすということで減反補償金が支払われたそうです.
農林水産省農業技術研究センター鳥害研究室:
湛水水田を水鳥(主にシギチドリ類)がどのように利用するのか,茨城県霞ヶ浦周辺の水田で実験研究を行っています.研究の成果については,1999年度鳥学会に於いて発表されています.
山形県飯豊町黒沢地区:
1997年冬より,30aの水田に水を張って(水深不明なれど結構深い),コハクチョウの渡来地を創り出しています.給餌を行っているので,湛水水田版「ハクチョウ池」といった感じですが.1999年12月8日現在で約120羽のコハクチョウが渡来しているそうです(山形新聞朝刊1999/12/9)
島根県宍道湖・ホシザキグリーンパーク:
宍道湖西岸にある宍道湖グリーンパークでは,周辺農家の方に協力を頂いて冬の苅田に水を張り,コハクチョウやヒシクイ,マガンの採食場として提供する事業を行っています.1999年度はコハクチョウが41羽(12/7),マガンが約1100羽(11/30),ヒシクイ10羽,マガモ110羽(10/29)のほか,カモ類,シギチドリ類の利用も確認されています.土地を提供している農家の方は,水鳥が草を根こそぎ食べてくれるので草が生えず,春に耕しやすかった,と言っているそうです(ホシザキグリーン財団ニュースNo.17).
石川県加賀市鴨池観察館付近の下福田水田:
石川県加賀市の鴨池観察館の約1.5km離れたところにある下福田水田では,カモ類採餌環境調査用に約10haに冬期湛水し,1999/2000冬にはコハクチョウ86羽(1999/12/19)を始めマガン,ヒシクイ,カモ類などが採食に訪れているようです(鴨池通信No.113).なお,1998/1999年冬のプロジェクトでは,湛水水田のカモ類の利用による雑草抑制効果及び施肥効果について,石川県農業総合研究センターが分析しています(1999年農業技術体系 第8巻追録第21号).データが少ないのが難ですが,湛水水田では雑草の発生が抑制され,土壌はリンに富み施肥効果も期待されています.2000/2001冬は,事業規模が縮小して3反のみで11月より湛水しているそうです.
石川県河北潟:
2000/2001冬から,石川県河北潟でも湛水水田プロジェクトが始まりました.湛水面積は合計11ha.プロジェクトの目的は,カモによる大麦への食害を防ぐために,湛水水田にカモを呼ぼうというものです.
千葉県印旛郡本埜村:
時期は不明ですが,0.5haの水田でコハクチョウを誘引するプロジェクトを行っていたようです.水深は約30cm.井戸を掘って水田の下から水を汲み上げ,誘因のために餌(しいな?)をまいていたそうです.夜はカモが多数飛来していたといいます.ハクチョウ糞の施肥効果があるらしく,肥料を少なめにして稲作し,収穫米は秋に白鳥見学者に「白鳥米」として現地で販売していまたようです.