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東アジア・オーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワーク(ガンカモ類)支援・
鳥類学研究者グループ:JOGA 第16回集会
2013年9月14日,名城大学天白キャンパス
1999年より「東アジア地域ガンカモ類重要生息地ネットワーク」の活動を支援する鳥学研究者のグループを設立して毎年鳥学会大会の際に集会を開いてきた。
今回は「ガンカモ類の生態、形態 — 羽田健三業績レビューと今後の展望」をテーマとする。現在、日本では56種のカモ科鳥類が記録されている(日本鳥類目録改訂第7版)。それらには水面採食、潜水採食のような行動の違い、あるいは動物食性、植物食性、魚食性のような食物の違いなどの違いがある。1950年から1960年代、信州大学教育学部生物学教室の羽田健三は、湖沼におけるカモ類の群集構造が湖の生産性と安全性によって異なることを明らかにし、そのすみわけを一般的な生態学的地位(食物、採食の場所や様式)に、採食体制(筋肉、骨格)、消化器官を加えた幅広い概念である採食型によって説明した(注)。
この自由集会では、最初にこの羽田健三の業績をレビューし、羽田が示したカモ科鳥類の社会の有り様を参加者で共有する。次いで主に形態を中心として、羽田が材料として扱わなかった器官(たとえば鳴管)の種間比較、さらに形態の特殊化の例である「飛ばなくなった」化石ガンカモ類の多様性の紹介など、今後のガンカモ研究の発展に寄与しうるテーマを提示したい。
嶋田 哲郎・渡辺 順也・須川 恒
2013年9月14日(土) 16:00−18:00.
名城大学天白キャンパス(名古屋市天白区)[集会会場:501]
(13−16日に開かれる日本鳥学会2013年度大会の中の自由集会 W06 として開催)
[講演要旨 ⎘]
「羽田健三カモ科鳥類研究のレビュー」
嶋田 哲郎((公財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)
羽田はカモ科社会を、陸上及び水面採食型社会、水底採食型社会、採魚型社会などに分け、それらの社会の空間的なすみわけを明らかにし、そのすみわけを説明するため、食物の違い、形態の違いを幅広くまとめ、採食型という概念を提出した。羽田の記したカモ科鳥類の多様な世界を紹介する。
[講演要旨 ⎘]
「カモ類の鳴管の多様性」
小木曽 チエ(愛知県弥富野鳥園展示標本作製担当スタッフ)
弥富野鳥園の標本作製支援の作業を続ける中で、カモ科鳥類についてさまざまな形態上の疑問に出会った。鳴管の多様な種間差はどのように説明できるのかを例にぶつかった疑問について紹介する。
[講演要旨 ⎘]
「化石に見る無飛翔性のガンカモ類」
渡辺 順也(京大・理・地鉱)
ガンカモ類の進化の過程では、さまざまな系統で飛翔力が失われている。このような無飛翔性のガンカモ類は現生種としては5種が知られるのみだが、化石種としては20種ほどがこれまでに報告されており、ガンカモ類がさまざまな環境に適応、特殊化し、絶滅していった様子の一端がうかがえる。多様な無飛翔性のガンカモ類について簡単にまとめ、日本からの産出例についても紹介する。
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URL: http://www.jawgp.org/anet/jg019.htm
2013年8月20日掲載,2013年9月2日更新(講演要旨掲載完了),
JOGA.